経済安全保障推進法と半導体の関係とは?特定重要物資をわかりやすく解説

「経済安全保障推進法で半導体が重要になった」というニュースを見て、内容がよくわからなかった方も多いのではないでしょうか。半導体はスマホや家電に欠かせない部品ですが、なぜ国が法律まで作って守ろうとしているのか、少し複雑に感じますよね。

この記事では、経済安全保障推進法と半導体の関係を、専門用語をかみくだきながら整理します。制度の仕組みや、わたしたちの暮らしへの影響までまとめました。

目次

経済安全保障推進法とは?半導体がなぜ関係するのか

経済安全保障推進法は、暮らしや経済に欠かせない重要な物資を、安定して手に入れられるようにするための法律です。半導体はその「守るべき物資」の代表格として位置づけられています。まずは言葉の意味から見ていきましょう。

半導体チップとサプライチェーンを表すインフォグラフィックのイメージ

そもそも「経済安全保障」ってどういう意味?

経済安全保障とは、経済活動の面から国の安全を守る、という考え方です。たとえば、ある製品が特定の国からしか輸入できない状態だと、その国との関係が悪化したときに供給が止まってしまいます。

こうした「経済を通じたリスク」に備えるのが経済安全保障です。経済安全保障推進法は、この考え方を実際の制度に落とし込むため、2022年に成立しました。段階的に施行され、重要物資の安定供給を支える柱のひとつになっています。

「安全保障」というと軍事の話に聞こえますが、ここでは「モノが安定して手に入るか」がテーマなんですね。

半導体が「特定重要物資」に指定された理由

半導体は、この法律のなかで「特定重要物資」に指定されています。特定重要物資とは、国民の生活や経済活動が広く依存していて、安定した供給を確保する必要が特に高い物資のことです。

半導体が指定された背景には、大きく2つの事情があります。

  • スマホ・パソコン・自動車・家電など、あらゆる製品に組み込まれている
  • 製造が一部の国・地域に集中しており、供給が止まると影響が大きい

実際、過去には世界的な半導体不足で自動車の生産が滞る事態も起きました。こうした経験も、半導体を重点的に守る対象とする判断につながっています。

特定重要物資に指定された11分野(半導体を含む)

半導体は、最初に指定された11の分野のひとつです。指定は半導体だけでなく、暮らしや産業を支える幅広い物資に及んでいます。全体像を知ると、この制度が何を守ろうとしているのかが見えてきます。

半導体以外にどんな物資が対象?

2022年12月に、政令で以下の11物資が特定重要物資として指定されました。

分野主な内容
半導体半導体素子・集積回路など
蓄電池EVや蓄電システムに使う電池
永久磁石モーターなどに使う強力な磁石
重要鉱物レアメタルなどの鉱物資源
工作機械・産業用ロボットものづくりを支える機械
航空機の部品航空機向けの部品
クラウドプログラムクラウドサービスの基盤ソフト
天然ガス発電・都市ガス向けのエネルギー
船舶の部品船をつくるための部品
抗菌性物質製剤抗菌薬(抗生物質)の原料など
肥料農業に使う肥料

その後も対象は見直されています。2024年2月には、コンデンサーやろ波器といった先端電子部品が新たに指定され、重要鉱物の対象にウランが追加されました。社会情勢に合わせて、守る物資が更新されていく仕組みです。

ポイント

特定重要物資は「一度決めたら終わり」ではありません。国際情勢や産業構造の変化に応じて、追加・見直しが行われます。

半導体分野で企業が受けられる支援(供給確保計画・補助金)

この法律の大きな特徴は、規制だけでなく「支援」の仕組みがある点です。半導体を国内で安定して作れるように、国が計画を認定し、補助金などで後押しします。ここが従来の制度と違うところです。

企業が計画を国に提出し認定を受ける流れを示すフロー図のイメージ

「供給確保計画」を国が認定する仕組み

半導体の安定供給に取り組みたい企業は、「供給確保計画」を作成して経済産業大臣に提出します。設備投資や備蓄、代替となる技術の研究開発など、どう安定供給を実現するかをまとめた計画です。

この計画が認定されると、国からの支援を受けられるようになります。流れを整理すると次のとおりです。

STEP
計画を作成する

企業が設備投資や研究開発などの供給確保計画をまとめます。

STEP
国に提出する

作成した計画を経済産業大臣に提出します。

STEP
認定を受ける

内容が基準を満たすと認定され、補助金や融資などの支援対象になります。

補助金・低利融資などの支援内容

認定を受けた企業は、助成金や、日本政策投資銀行による低利融資(ツーステップローン)といった支援を受けられます。設備投資には多額の費用がかかるため、国が費用の一部を負担することで、国内での生産を後押しする狙いです。

政府はこうした支援のための予算も確保してきました。半導体分野では、製造装置や部素材、原料まで含めたサプライチェーン全体を強化する方針が示されています。

「サプライチェーン」は、材料の調達から製造・出荷までの一連の流れのこと。どこか一か所が止まると全体に影響します。

わたしたちの暮らしへの影響は?

半導体の供給が安定するかどうかは、実はわたしたちの生活にも直結しています。身近な製品の値段や入手のしやすさに関わってくるからです。制度の話を、暮らしの目線でとらえ直してみましょう。

半導体不足と身近な製品(家電・車など)

半導体は、スマホやパソコンはもちろん、冷蔵庫や洗濯機、自動車にも使われています。そのため半導体が不足すると、製品の生産が遅れたり、価格に影響が出たりすることがあります。

近年は、円安や原材料高とあわせて、さまざまな製品の値上げが話題になりました。半導体の安定供給は、こうした身近な製品を安定して手に入れるための土台のひとつといえます。

国内生産を強化する動きの意味

近年、日本国内に半導体の新しい工場を建てる動きが相次いでいます。これは経済安全保障推進法だけによるものではありませんが、国内で作れる体制を整えるという方向性は共通しています。

国内生産が増えれば、海外の情勢に左右されにくくなります。すぐに生活が変わるわけではありませんが、長い目で見て「安定して製品が手に入る」ことにつながる取り組みだと考えられます。

国の制度づくりの動きは、他の分野でも進んでいます。あわせて読むと、政府の取り組み全体がつかみやすくなります。

この記事のまとめ

経済安全保障推進法は、暮らしに欠かせない物資を安定して確保するための法律です。半導体は特定重要物資に指定され、供給確保計画の認定を通じて補助金などの支援を受けられます。身近な製品の安定供給を支える取り組みとして押さえておきましょう。

よくある質問

経済安全保障推進法は個人にも関係ありますか?

直接の申請などは企業向けの制度ですが、半導体を使った製品の安定供給を支える仕組みのため、間接的にわたしたちの暮らしにも関わっています。

半導体はいつ特定重要物資に指定されたのですか?

2022年12月に、11分野の物資のひとつとして政令で指定されました。その後も対象物資の見直しが行われています。

特定重要物資は半導体を含めていくつありますか?

最初に指定されたのは11分野です。2024年2月に先端電子部品が追加されるなど、対象は随時見直されています。

供給確保計画を出せば必ず補助金がもらえますか?

いいえ。計画が基準を満たして認定される必要があります。認定を受けた企業が補助金や低利融資などの支援対象になります。

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