正月が終わった後、旧暦に基づく正月、いわゆる旧正月がやってきます。
近年、韓国や中国からの訪日者が増えていることから、旧暦に対する関心が高まっている方も少なくないでしょう。
日本における旧正月は中国の正月と重なり、多くの人が休暇を取るため、訪日客の増加につながります。
かつての日本も韓国や中国と同様の暦を採用していたため、この時期に正月を祝っていました。
では、その旧暦とは一体どんな暦で、なぜ変更されたのでしょうか?
意外と知らない旧暦について、簡単に明らかにしてみましょう。
旧暦とは?
旧暦とは、その名の通り過去に使用されていた(古い)暦のことを指します。
1873年1月1日(明治6年)に現行の暦に変更されるまでは、旧暦が用いられていました。
新暦と旧暦の主な相違点は以下の通りです。
- 新暦は太陽暦を採用
- 旧暦は太陰太陽暦を採用
新暦はグレゴリオ暦と称され、太陽の公転を基準に定められた太陽暦の一種です。
一方、旧暦は「時憲暦」や「天保暦」として知られ、月の満ち欠けを基準に定められた太陰太陽暦の一種でした。
現在でも旧暦の影響は残っており、1月を睦月、2月を如月というように月の名称がありますが、これらは旧暦の月の名前です。実際の期間は旧暦と新暦で異なりますが、12ヶ月に分ける考え方は同じでした。(ただし、旧暦には3年に1度、閏月が存在します。)
月の満ち欠けの周期(新暦で約29.5日)に基づいて暦が作られているため、1年は354日となります。
その結果、新暦から見ると旧正月の時期が少しずつずれていきます。
旧暦を廃止して新暦に移行した理由
世界基準の暦に合わせるためというのが一般的な説ですが、旧暦では3年に1度閏月があるため、公務員の給与を節約する目的もあったとされています。(ちなみに、アジアで最も早く太陽暦に移行したのは日本でした。)
「世界基準」という観点が、かつては中国に、その後は西洋に移ったことが理由の一つかもしれません。
サマータイムのように一時的に時間を変更することですら難しいのに、暦を変更するのは非常に大変なことだったと思いますが、どうだったのでしょう。
実は暦の変更は何度も行われている
暦を変更することは困難なことに思えますが、旧暦の時代には何度も暦が変更されていたことをご存知でしょうか。
飛鳥時代に初めて暦が導入された際は太陰太陽暦の元嘉暦が採用され、862年には宣明暦への改暦が行われ、その約800年後の1685年(江戸時代)には貞享暦(日本独自の太陰暦)に改暦されました。
その後、1755年に宝憲暦、1798年に寛政暦、1844年に天保暦へと変更され、その後太陽暦へと改暦されました。
現在の旧暦はどの暦を指すのか
貞享暦、宝暦暦、寛政暦、天保暦と変遷してきた暦ですが、現在でいう旧暦は新暦に変わる前の天保暦を指します。
旧暦の月の名称一覧
旧暦の月の名称は和風月名(わふうげつめい)と呼ばれ、和風の名前が使われていました。
現在の暦の月に対応すると以下のようになりますが、実際の期間は現在と異なる点に注意が必要です。
- 睦月
- 如月
- 弥生
- 卯月
- 皐月
- 水無月
- 文月
- 葉月
- 長月
- 神無月
- 霜月
- 師走
これらの月の名称が旧暦の名残であることを知らなかった方もいるでしょう。
魅力的な名称なので、これからも長く残していくべきだと思います。
中国や韓国以外で旧暦が使われている国は?
中国や韓国が太陰太陽暦を採用していることはよく知られていますが、それ以外にもベトナム、シンガポール、台湾、マレーシア、インドネシア、フィリピンなど、今でも太陰太陽暦を使用している国があります。
意外と多くの国で旧暦が使われていることに驚かれるかもしれません。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、時差があるとはいえ、どの国も1月1日に新年を迎えると思っている方が多いですが、実際には異なります。
2022年の旧暦の正月はいつ?
2022年の旧暦による正月は2月1日です。(2021年は2月12日でした)
国によって日本の正月休みに相当する期間(中国では春節、韓国ではソルラルなどと呼ばれます)が異なりますが、比較すると、同じ暦を採用していても期間が大きく異なることがわかります。
特にシンガポールの短さが際立っています。
<2022年の旧正月の休暇期間>
- 中国:1月31日~2月6日
- 韓国:1月29日~2月2日
- 台湾:1月29日~2月6日
- ベトナム:1月29日~2月6日
- シンガポール:2月1日~2月2日
まとめ
名残を残しながらも、旧暦は過去のものとなりました。
特に2022年は2月に入ってから旧正月を迎えるため、現在とは大きな違いがあることに驚かれる方も多いでしょう。
これほど大きな違いをもたらす暦の変更は、非常に重要な出来事だったと想像できます。
最近では、韓国や中国からの訪日客の動向を把握するために、旧正月に注目する方が増えていますが、太陽暦から見ると一定ではないため、毎年確認が必要です。
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