とうもろこしの漢字表記と読み方の秘密:知っておきたい3つの表記

「玉蜀黍」を「とうもろこし」と読むことをご存知でしたか?

普段はひらがなやカタカナで「とうもろこし」と書くことが多いですが、実は漢字では「玉蜀黍」と書き、さまざまな読み方があるのです。

日常ではひらがなで表示することが一般的なため、「玉蜀黍」という漢字には馴染みがないかもしれません。

同じ野菜であっても、読み方が複数存在するのはなぜでしょうか?

目次

とうもろこしの漢字表記は3種類

先ほど「玉蜀黍」という漢字を紹介しましたが、実は「とうもろこし」には3つの漢字表記があります。

それぞれの漢字について見てみましょう。

  • 玉蜀黍
  • 唐蜀黍

「唐蜀黍」と書く場合、「とう」の部分の漢字が異なります。

これは中国が関係しています。

かつて中国は「唐」と呼ばれており、とうもろこしが16世紀に伝来したことから、中国から伝わった「モロコシ」という植物に似ていることから「唐蜀黍」となったのです。

  • 唐黍

最後に、「唐黍」と書く場合です。

これは中国から伝わった「モロコシ」という植物の漢字表記がもとになっており、ポルトガルから伝わったとうもろこしも似ていたことから、この漢字が使われるようになりました。
複数の漢字にはそれぞれの伝来に関する歴史的背景があることがわかりますね。

ちなみに、当時日本に持ち込まれたとうもろこしは、現在では飼料として使われている硬粒種(フリントコーン)でした。

これは鶏のエサによく使われ、私たちが食べても美味しくない品種です。

その後、アメリカからスイートコーンやデントコーンが伝わり、北海道で栽培が始まりました。

これが現在私たちが食べている甘みのあるとうもろこしです。

栽培は九州地方にも広がり、全国的にとうもろこしはメジャーな野菜として食べられるようになりました。

「人間用のスイートコーンと家畜用のデントコーン」については、荒川弘さんの漫画「百姓貴族」でも触れられています。

玉蜀黍の多様な読み方

「玉蜀黍」という漢字にはさまざまな読み方があります。

「とうもろこし」という表記がいくつかあるだけでなく、「玉蜀黍」自体にも複数の読み方があるのです。

ここでは、玉蜀黍の4つの読み方をご紹介します。

とうもろこし

最も一般的な読み方は「とうもろこし」です。

普段使う読み方ですね。

たうもろこし

次に、「たうもろこし」です。古典の授業で習ったことがあるかもしれません。

この読み方は、昔の世代に馴染みがあるかもしれません。

きみ

3つ目は「きみ」です。

「とうもろこし」から一気に短縮されて「きみ」になるなんて驚きですね。

宮沢賢治の作品でも「玉蜀黍(きみ)」と書かれています。

ちなみに、青森県産のとうもろこしで「嶽きみ(だけきみ)」という品種名にも使われています。

もろこし

最後に「もろこし」です。

「とう」が抜けただけで、比較的「とうもろこし」を連想しやすいですね。

昔の文献にも「もろこし」と読まれることがありました。

昔の人々にとって、玉蜀黍にさまざまな読み方があるのは普通だったのかもしれません。

まとめ

身近な野菜「とうもろこし」の漢字表記についてお話しましたが、いかがでしたか?

日常ではひらがなやカタカナで見ることが多いため、漢字で書かれると新鮮に感じられたかもしれません。

漢字には歴史的な背景や由来があり、それが複雑な読み方に繋がっています。

今後、とうもろこしを食べる際に、この話を少し思い出していただけると嬉しいです。

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