自我の強さをコントロールする方法:良好な人間関係を築くために

あなたは周囲から「自我が強い」と指摘されたことはありませんか?

「自我が強い」と言われると、「わがまま」と言われているように感じるかもしれません。

しかし、多くの人が「自我が強い」という言葉の意味を誤解しています。

実際には、「自我が強い」ということは必ずしも悪いことではありません。

しかし、過度な自我は「独りよがり」や「わがまま」となり、トラブルの原因になることもあります。

良い出会いがあっても、そのような振る舞いが原因で自ら台無しにしてしまうこともあるでしょう。

今回は、自我が強い人の特徴を理解し、自己中心的な性格を改善する方法についてお話しします。

「自我が強い」性格の特徴を理解することは、自己を見つめ直す良い機会となります。

性格を変えるために必要なことが自然と見えてきて、周囲との人間関係にも良い影響を与えるでしょう。

この機会に、自分の「自我」と向き合ってみてください。

自我とは何か?

そもそも「自我」とは何でしょうか?

自我は、英語で「アイデンティティ」を意味し、自分自身に対する意識や観念を指す言葉です。

心の中で非常に大切なものと考えられていますが、この言葉を聞いてもピンとこない人も多いでしょう。

まずは「自我」が何なのかを詳しく見ていきましょう。

自我とは?

心理学の世界で「自我」の概念を定義したのは、オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトです。

彼は「自我」を「意識と前意識、それに無意識的防衛を含む心の構造」と定義しました。

わかりやすく言うと、「行動や意識の主体」となるものです。

つまり、自分の心の状態や行動、他の存在との区別のために必要とされるもの、それが「自我」なのです。

このことを踏まえて「自我が強い」という言葉の意味を考えると、自分自身と外の世界をはっきりと区別する意識が強い状態が「自我が強い」ということになります。

ですから、自我が強いということは必ずしも悪いことではないのです。

自我と自己の違い

「自我」に似た言葉として「自己」がありますが、これらを同じ意味として捉える人が少なくありません。

しかし、実際には異なる概念です。

英語に訳すと、自我は「アイデンティティ」、自己は「パーソナリティ」に相当します。

自我は「自分が考える自分」、自己は「自分と他人を通してみる自分」を意味します。

自我が強い人は自分自身に対する意識が非常に強く、外部からの影響と自分の考えを明確に区別します。

一方、自己を意識する人は、自分自身の考えと他人からの評価を総合的に捉えています。

つまり、自我を上手にコントロールすることで自己が形成されるのです。

「自我が強い」と「我が強い」と「気が強い」の違い

一般的に「自我が強い」「我が強い」「気が強い」という表現は似ていますが、それぞれ異なる意味を持っています。

「自我が強い」とは、自分を強く意識している状態を指しますが、「我が強い」は強情や意地を張ることを意味します。

「我」は「自分」という意味なので、「我が強い」は「自分の考えを押し通す」という意味になります。

「気が強い」とは、「性格が強い」という意味です。

このように、似ている表現ですが意味が異なることを理解しておくことで、周りからの評価を誤解せずに済みます。

自我が強い人の特徴

「自我」とは「自分自身と自分以外のものを区別するための意識」であり、単なる「わがまま」とは異なることが理解できました。

では、自我が強い人にはどのような共通した特徴があるのでしょうか?

自我が強い人の特徴

自分の意見を曲げない

自我が強い人は、単なるわがままではなく、自分の意見をしっかり持っています。

自分が「正しい」と思うことは誰に何と言われても「正しい」と信じ、その意見を曲げません。

これは、自分の経験や知識に基づいた強い意見を持っているからです。

したがって、他人から意見が間違っていると言われても、意見を曲げることができません。

このような特徴が強いと、周囲から孤立したりトラブルに発展することがあります。

自分の強みを誇示する

自我が強い人は、自分の「アイデンティティ」をしっかりと認識しているため、自分の長所や強みを理解しています。

その結果、自分の強みを周囲に誇示してしまい、周りからは自慢と受け取られることがあります。

自我を確立することは重要ですが、過度に自慢すると周囲には嫌味に感じられてしまいます。

自己中心的な話し方をする

自我が強い人は、自分の意思が非常に強く、それを周りに強く押し出します。

そのため、自分の意見を曲げず、周囲の助言を無視して自己中心的に話を進めることが多いです。

説明なしに行動する

自我が強い人は、自分の意思が明確であるため、他人からの否定や抑圧を嫌います。

そのため、思いついたことを周りに説明せずに行動に移し、周囲を驚かせることがあります。

協力を求める段階で異論を唱えられるのを嫌がるため、自己判断で行動する傾向があります。

失敗を隠そうとする

自我が強い人は、他人からの否定や抑圧に対して弱いため、失敗を認めることが難しいです。

自分の意見が正しいと思う傾向が強く、失敗が自分の自我を傷つけることを恐れます。

そのため、失敗を隠したり言い訳をしたりすることが多いです。

感情的になりやすい

自我が強い人は、失敗や否定に対して敏感で、特に抑圧されたり否定されたりすると感情的になります。

ネガティブな状況に直面すると、「自分ばかりが我慢している」「自分だけが忙しい」といった自己中心的な感情を周囲にぶつけてしまいます。

このような感情的な反応は、周囲とのトラブルを引き起こしやすくなります。

特定の物や場所に固執する

自我が強い人は「自分と他人の境界を明確に意識する」傾向が強く、特定の物や場所に対して非常にこだわりを持ちます。

自分のお気に入りの場所や物に対して固執し、それに他人が関わることを嫌います。

例えば、自宅の自分の部屋が好きな人もいれば、会社でのお気に入りの場所に他人が入るとトラブルになることもあります。

特定の物についても、自分が決めた位置から他人が動かすことで問題を引き起こします。

このような特徴が人前に出ると、社会では「付き合いにくい人」と見られる可能性があるため注意が必要です。

特に女性で自我が強い人に見られる特徴

男女を比較すると、女性の方が「自我」がしっかりしている傾向があり、脳の構造からも感情的で自我が強くなりやすいと言われています。

人間の脳は右脳と左脳に分かれていますが、女性はその両方を繋ぐ「橋(きょう)」が太いため、感情的になりやすいそうです。

女性で自我が強い人は男性以上に感情的な行動をしやすいと言えます。

これまで述べた自我が強い人の特徴に加え、以下のような特徴を持つ女性を男性は「自我が強い」と敬遠することがあります。

このような特徴は多くの人に短所と見なされることが多いです。

男性も女性もこうした特徴を持つ人は敬遠されることが多いでしょう。

もし「自我が強い」性格を短所や欠点と感じているなら、その自我をコントロールする必要があるかもしれません。

自我の強さから見えるもの

ここまでは、「自我が強い」ことが短所や欠点であるという視点からお伝えしてきました。

しかし、冒頭でも触れたように、「自我が強い」ことは必ずしも悪いことではありません。

自我が強いということは「自分の意思や意見が強い」ことです。

ですから、自我が強い人は強い精神力を持っているとも言えます。

ここからは、これまでお伝えしてきた「自我の強さ」を構成する心理的要素について見ていきます。

自我の強さを構成している心理

自我心理学派の創始者ジークムント・フロイトの精神分析によれば、「自我の強さ」は以下の5つの要素で構成されています。

主体性と自律性

自我には「主体性」と「自律性」があります。

主体性とは、自分の行動や言動の主体が自分の心にあること、つまり、自分が何をしたいかの判断基準が常に自分の心の中にあることです。

また、自律性とは、いつも同じ判断をするための心の習性を指します。

心の中で「やりたいことがある」と感じた時、いつも同じ判断基準で考えることが自我の大きな特徴です。

この心理が強い人ほど、自我が強いと言えます。

自我の防衛機能

心理学における防衛機能は、自分の心を不快な感情や体験から守り、心理的に安定した状態を保つための心の働きです。

自我にはこの防衛機能が備わっており、様々な形で心を守っています。

例えば、不快な体験を忘れる「抑圧」や、不安から逃げる「逃避」、コンプレックスを補う「補償」などがあります。

自我が強い人は防衛機能も強く働くため、時にはトラブルの原因になることもあります。

しかし、この防衛機能は困難な状況で心を守る大切な力でもあります。

衝動統制

自我における衝動統制とは、不快なことや欲求を我慢できることです。

衝動とは、目の前の欲求や快感を満たしたいという心理のことで、自我が強い人はこの衝動をコントロールする力が優れています。

一方で、衝動統制が欠如すると日常生活に支障をきたすため、その場合は治療が必要です。

欲求不満耐性

欲求不満とは、欲求が満たされない時に起きる心理的な緊張状態です。

人間は欲求不満を解消するために「逃避反応」や「攻撃的反応」を示します。

しかし、自我の中には「欲求不満耐性」があり、欲求不満の状況に耐える力があります。

自我が強い人はこの欲求不満耐性も強く、他の人よりも欲求不満に対して我慢ができると言われています。

現実検討能力

現実検討能力とは、自分の考えが現実と一致しているかを照合する力のことです。

この力は自我に備わっており、客観的に自分を捉えて分析する能力です。

自我が強い人は理性が働き、自分を客観視する能力が高いと言われています。

自我が強いと依存心も強い?

一般的に、自我が強い人は自分の意見や意思を強く持ち、プライドが高く自己主張が激しいと見られがちです。

しかし、その強い自我の裏には不安や恐れが隠れていることがあります。

これらが原因で自我を強く出してしまう場合、その自我の強さは依存心の強さの裏返しであることが少なくありません。

先ほど「自我の強さを構成している心理」について触れましたが、その中には自我の防衛機能も含まれています。

不安や恐れを感じると人間は心理的に不安定になり、それを避けるために様々な心理的作用が働きます。

「補償」「逃避」「退行」などの作用は、依存心に繋がるものです。

不安を感じた際にその場面から逃れる「逃避」という心理作用は、誰かに頼ることで逃避する「依存心」と考えられます。

自我が強い人は自己主張が強いため、気付かないうちに孤独になりがちです。

孤独を感じると不安が募り、その不安から逃れるために誰かに頼る、つまり依存心が強くなるのです。

自我が強い人はめんどくさい人?

一般的には、自我が強い人は「扱いにくい」「めんどくさい人」と思われることが多いです。

しかし、果たして本当にそうでしょうか?

自我が強い人は自分の意見や意思をしっかり持ち、自分と他人との境界を明確に区別できる人です。

こうした特性は、周囲と自分をしっかり区別し、明確な意見を述べる素晴らしいリーダーとなる素質を持っています。

しかし、自分の意見を過度に強く出してしまうと「扱いにくく、めんどくさい」と思われてしまいます。

このような場合は「自我が強い」というより「我が強い」、つまり「わがまま」と見なされがちです。

自我が強いこと自体は決して悪いことではありませんが、あまりにも強すぎると、せっかくの強い意思が「わがまま」と認識されてしまい、もったいない結果になります。

自我の強さは、周囲から「めんどくさい」と思われない程度にコントロールすることが賢明です。

自我は強めるべき? 弱めるべき?

これまで、「自我が強い」とはどういうことかを様々な角度から考えてきました。

そこで一つ疑問が浮かびます。

「実際に自我は強めるべきなのか? それとも弱めるべきなのか?」

自我が強すぎると「わがまま」と誤解され、逆に弱すぎると意思が弱い人間だと思われてしまいます。

どの程度の自我が周囲との人間関係において適切なのでしょうか?

自然自我とは

人間が生まれた直後の赤ちゃんの頃に持っている自我を「自然自我」と言います。

大人になると、多くの人は赤ちゃんの頃の記憶を覚えていません。

しかし、記憶は「覚えていない」「忘れた」のではなく、ただ「思い出せない」だけで、脳内にはしっかりと刻まれています。

この「思い出せない記憶」が潜在意識、いわゆる無意識です。

自然自我もこの無意識の中に存在する自我です。

生まれた瞬間から持っている自然自我の具体例として、赤ちゃんが自らを守るために泣く「意思表示」が挙げられます。

このように、生まれつき持っている原初的な観念イメージが自然自我であり、外界の現実と自然自我をすり合わせながら自我を成長させていきます。

社会的自我とは

自然自我が発達の過程で成長し、変化していくと「社会的自我」になります。

社会的自我は、成長と共に外界からの刺激や内外差異によって生じる葛藤から生まれます。

例えば、赤ちゃんの頃は泣くことで意思表示をしていたものが、成長するにつれて「泣く」と周囲がどう反応するか、どんな出来事が起こるかを経験します。

この経験が外界からの刺激となり、自然自我を社会的自我へと変容させます。

人間は他の動物と異なり、この社会的自我がなければ満足に生きていけない生物です。

複雑な社会環境で生きるためには、「社会的自我」を発達させることが必要です。

自我は強めるべき?弱めるべき?

ここまでの内容を踏まえると、現在私たちが持っている自我は、自然自我を基礎とした社会的自我であり、複雑な社会で生きていくためにはこの両方の自我をうまく調和させる必要があります。

自我が強すぎると周囲と軋轢を生み、弱すぎると社会から淘汰されてしまいます。

自然自我は生まれつきの気質であり、社会的自我は社会の中での役割や性格です。

この両方を状況に応じて強めたり弱めたりしながらバランスを取って生活するのが理想的です。

もし周囲から「自我が強くて扱いにくい」と言われたなら、この両方の自我のバランスを見直して調整してみるのが良いでしょう。

自我の強さは、強めるべきでも弱めるべきでもなく、バランスを取ることが重要です。

自我が強い自分を変える方法

自我は「自分の意思」を表すもので、強すぎても弱すぎても問題です。

自我が強い人は、ポジティブに捉えれば意思が強くリーダーシップを発揮できますが、過度に強いと扱いにくく「わがまま」と誤解されることもあります。

自我が強いという自覚がある人は、その自我の強さをバランスよく調整する必要があります。

では、どのようにして自我が強い自分を変えることができるのでしょうか?

わがままな自我を「抑える」?

「自我が強くてわがままだ」と言われる人は、そうした自分の自我を抑えようとすることがあります。

自我が強い人は自我の防衛機能も強いため、自分の意見や意思を抑え込むことが比較的容易です。

これは防衛機能の一種である「抑圧」によるもので、わがままだと指摘されないように自分の気持ちを無意識の中に押し込むのです。

しかし、常に自我を抑え込んでいると、いずれ心に限界がきます。

防衛機能を頻繁に使いすぎると、精神的な問題として表面化することがあります。

例えば、過度に自分の気持ちを抑圧してきた人が突然過呼吸を起こしたり、攻撃的になるなどの症状が現れます。

これらは抑圧が限界に達した結果です。

したがって、わがままだと思う自分の自我をただ「抑える」のではなく、その気持ちに対する考え方を「変える」ことが必要です。

自我が強い自分を「変える」方法

では、具体的にどのようにすれば自我が強い自分を「変える」ことができるのでしょうか?

何か意見を言う前に一呼吸置く

自我が強い人は自分の意見をはっきり持っているため、周りと意見が合わない時には反論したくなります。

しかし、自分の意見を押し付けるとトラブルになります。

意見を言う前に一呼吸置く習慣をつけましょう。

感情をコントロールする手法として「アンガーマネジメント」があります。

アンガーマネジメントの一つの手段として「6秒数える」という方法があります。

6秒待つことで考える時間を作り、心に余裕を持つことができます。

これにより、自我が強くて周りとトラブルになる事態を回避できます。

失敗を認める

失敗することは恥ずかしいことではありませんが、自我が強い人は自分の意見がしっかりしているため、失敗を認めるのが苦手です。

失敗を指摘されたり、自ら失敗に気づいた時には、それを認めることを心がけましょう。

失敗を認めたら素直に謝ることも重要です。

自我が強くて自分を曲げられないと、失敗をごまかしたり隠したりして、さらにトラブルを招いてしまいます。

失敗を認めることができるようになれば、自我が強くても周りとトラブルを起こさずに良好な人間関係を築けます。

素直で正直に生きる

失敗したら素直に認めることは重要ですが、それ以上に褒められた時に素直に喜ぶことも大切です。

自我が強い人は自分と他人の境界をはっきりと区別します。

つまり、公の場とプライベートでの自分をしっかり分けているのです。

このような人は会社などでふざけることがなく、冗談が通じない場合も多いです。

だからこそ、素直な反応を心掛けることが必要です。

また、「失敗を認める」ことも重要ですが、失敗を隠すために嘘をつくのは良くありません。

正直に失敗を認めて謝罪すれば、周囲とトラブルになることは避けられます。

自我が強い人ほど「素直で正直に生きる」ことを意識しましょう。

人に頼る

失敗した時や人から何か頼まれた時、自我が強い人は精一杯取り組みます。

しかし、自尊心が強いため、できないことを他人に頼るのが苦手です。

その結果、大きなトラブルに発展することがあります。

できないことはできないと謙虚に言えることが重要です。

無理をせず、できない時には「できない」と他人に頼る練習をしましょう。

プレゼンテーション能力を身につける

失敗を認めるのが苦手な自我が強い人におすすめなのが「プレゼンテーション能力」を身につけることです。

この能力があれば、自分の考えをスムーズに受け入れてもらえます。

自我が強い人は自分の意思が強いため、企画力に優れていることが多いです。

自分の考えを押し付けず、相手を納得させることで、自分の意見を曲げる必要がなくなります。

自分の自我を守るためにも、この能力をぜひ身につけてください。

言葉で言えない時は態度で示す

自我が強い人は考えを曲げたり失敗を認めたりするのが苦手です。

トラブルがあっても謝罪することができません。

頭を下げることや謝罪の言葉を口にすることが「負け」を認めることと感じるため、どうしてもできないのです。

その場合は、言葉ではなく態度で謝罪の気持ちを示しましょう。

メモで「ごめんなさい」と書いて渡す、相手が怒った原因と同じことをしないようにするなど、相手に分かるように行動で謝罪の気持ちを伝えましょう。

そうすることで、相手に理解してもらうことができます。

「でも」「だって」と言わない

人に意見を伝える時や人から意見を言われた時には、「でも」「だって」と否定の言葉を使わないようにしましょう。

自我が強い人は防衛機能の一つである「否認」の心理作用が強く出がちです。

しかし、否定的な言葉は相手に不快感を与えます。

もし自分が「でも」「だって」と言われたら、不快感からトラブルに発展するでしょう。

相手に不快感を与えないためにも、人の話を最後まで聞くことを心掛けましょう。

人の話を聞く(傾聴)

自我が強い人に限らず、対人コミュニケーションを円滑にするために重要なのが「傾聴・共感・受容」というカウンセリングの技法です。

これらを意識して人と関わることで、自我が強い人でも周りとトラブルを避け、良好な関係を築くことができます。

まずは「傾聴」です。

自分の話ばかりせず、相手の話に耳を傾けることを心掛けましょう。

自我が強い人は、自分の意見を先に述べがちです。

しかし、あまりに自己主張が強いと周りから嫌われることもあります。

まずは相手の話をしっかりと聞く姿勢を持ちましょう。

相手にも思いがあると考える(共感)

次に「共感」です。

傾聴して相手の話を聞いた後は、その気持ちに寄り添うことが大切です。

自我が強い人は自分の意見を大切にする傾向がありますが、それだけではトラブルを招きます。

自分と同じように、相手にも大切にしたい「思い」があることを理解し、共感することで良好な人間関係を築くことができます。

相手の意見を受け止める(受容)

相手の気持ちに共感できたら、次はその意見を受け止めることが重要です。

心理カウンセリングの技法の中でも特に重要なのが「受容」です。

自我が強い人は物事を「白黒」や「善悪」で判断しがちですが、世の中にはそれ以外の選択肢も存在します。

「受容」とは、相手の意見を自分の意見として受け入れるのではなく、相手の意見を理解し尊重することです。

これにより、自分の意見と相手の意見がどう違うのかを確認し、その意見が自分にとって受け入れるべきものかどうかを考えることができます。

相手の意見を受け止めることは非常に重要です。

前向きが大切

自我が強い人は、自分の意見を中心に考えるため、ポジティブな時は良いのですが、ネガティブになると悪い方向に物事を考えがちです。

この状態を自分で修正するのは難しく、周りの意見を取り入れるのも困難です。

そのため、常に前向きな気持ちを保つことが重要です。

前向きな気持ちを維持するためには、過去の失敗やネガティブな感情に囚われないよう、気持ちを切り替える方法を身につけましょう。

例えば、就寝前にその日を振り返る際、ネガティブな感情で締めくくらず、「感謝」と「謝罪」を意識して眠りにつくようにしてください。

このような習慣を続けることで、前向きな気持ちを育むことができます。

自我を超える超自我

これまで、「自我が強い」ということが必ずしも悪いことではないと述べてきました。

しかし、良好な人間関係を築くためには、自我をうまくコントロールする必要があります。

そのために欠かせないのが「超自我」と呼ばれるものです。

自我心理学派の創始者であるジークムント・フロイトは、超自我が自我と「エス」と呼ばれる無意識の領域にルールや倫理観、良心、理想などを伝える機能を持っていると定義しました。

つまり、超自我を意識することで、自我の強さをうまくコントロールすることができるのです。

ここでは、この超自我について詳しく紹介します。

超自我とは?

超自我は、自我と「エス」と呼ばれる無意識をまたぐ構造であり、ルールや道徳観、倫理観、良心、禁止、理想などを自我とエスに伝える役割を持っています。

厳密には、超自我は無意識と意識の両方に現れ、意識されることもあればされないこともあるという曖昧な存在です。

この超自我は、自我の防衛機能を引き起こす原因とされており、超自我が自我をコントロールする存在だと考えられています。

ただし、超自我には完璧を目指す傾向もあるため、自我が強い人は超自我も強くなると言われています。

そのため、超自我と自我のバランスをしっかり取ることが重要です。

超自我を持つ人の強さ

超自我を持ち、それを意識して生活している人は、精神的に非常に強いと言われています。

超自我を持つ人は、自分の自我に負けて問題のある行動や言動をしてしまったとしても、それを自ら修正することができます。超自我にあるルールや倫理観は、人間の「行動原理」と呼べるものです。

この行動原理がしっかりしていれば、自我が強すぎて他人とトラブルになりかけても、行動原理に基づいて修正できます。

重要なのは、この行動原理が自我の「わがまま」に影響されないようにすることです。

超自我を意識することで、自我が強くてもそれに振り回されることのない豊かな人生を送ることができます。

まとめ

「自我が強い」ということは、「欠点」や「短所」ではなく、意思が強く「自分の意見」がはっきりしていることです。

それは、あなた自身の「個性」に他なりません。

その個性をただ抑えるのは最善の選択ではありません。

個性を大切にしながら、周囲の人々を思いやり、自分の気持ちを伝え続けることで、良好な人間関係が築かれます。

まずは、「自我が強い」というあなた自身の個性を受け入れましょう。

そうすることで、周りから「わがまま」と指摘される自分を変えることができるはずです。