中学校の卒業を迎える皆さんにとって、卒業文集は3年間を締めくくる大切な記念品です。しかし、「何を書いていいか分からない」「作文が苦手で書き始められない」という方も少なくありません。そこで本記事では、卒業文集の意味やテーマの選び方、書き方の流れや具体的なテンプレート、さらには例文や書き出し例などを詳しく紹介します。学校や先生によってはテーマや文字数の指定がある場合もありますが、ぜひこのガイドを参考にしながら、自分だけの素直な気持ちや将来の夢を言葉にしてみてください。
卒業文集とは? どんなことを書けばいいのか
卒業文集は、中学校生活を振り返りながら、自分自身の思いや考えをまとめたものです。多くの場合、クラスの全員分を1冊にとりまとめて卒業式後に配布されます。何年も先に読み返した時、「あの時こんなことを考えていたんだな」「友達や先生とこんなに濃い時間を過ごしたんだな」と思い出を振り返ることができる大切な宝物になります。
実際に何を書けばよいか迷う人もいるでしょうが、まずは自分が中学3年間で体験した出来事や学んだこと、感謝の気持ちや将来の希望などを、素直にまとめればOKです。文章を書くのが苦手でも、後述するテンプレートや例文を参考にすればスムーズに書けるはずです。大切なのは、飾りすぎずにありのままの気持ちを書き出してみること。無理にかっこよくまとめようとするよりも、エピソードや感情を具体的に描くことがポイントです。
卒業文集を書く前の準備
文集を書くときにいきなり文章に取りかかると、「書きたいことが整理できずに手が止まる」ということがよくあります。そこで、まずは以下のステップで準備をしてみてください。
- 中学3年間の振り返りをする
- 特に印象に残っている行事や出来事をリストアップする
- 感謝を伝えたい人、エピソードを思い出す
- 将来の夢や高校生活への抱負を考える
あらかじめリストを作っておくと、後ほど書く内容を組み立てやすくなります。また、書ききれないエピソードが出てくるほど思い出がいっぱいある人は、絞り込みの作業も同時に行うとよいでしょう。
卒業文集のテーマとしてよく選ばれる12の切り口
中学校を卒業するにあたって、どんなテーマを書けばいいのか悩む方も多いと思います。以下に挙げる12の切り口は、卒業文集の定番とも言えるテーマなので、まずはここから選んでみるとスムーズです。
- 中学校3年間の思い出(行事・部活・友人とのエピソードなど)
- 中学生活で学んだこと(授業・人間関係・日常生活の中で得た教訓)
- 頑張ったこと(部活動・委員会・生徒会など)
- 将来の夢や目標(具体的な職業や叶えたいビジョン)
- 高校生活への抱負(新しい学校で挑戦したいこと)
- 自分が大切にしている宝物(物質的なものや価値観など)
- 尊敬する人物(家族や偉人など、理由や学びも添える)
- 友達との思い出(クラスや部活、放課後の交流など)
- 感謝の気持ち(先生・両親・仲間などへの感謝を伝える)
- 自分の成長(入学当初と比較して変化した部分)
- 挫折と克服(苦しかった経験とそこから学んだこと)
- 未来への決意(高校生活や将来に向けての意気込み)
もちろん、学校や担任の先生によっては別のテーマが指定されるケースもあります。その場合は、指定されたテーマをベースにしつつ、ここに挙げたキーワードを組み合わせて書きやすくアレンジすると良いでしょう。
書きやすいテーマの定番は「中学の思い出」
「とにかく早く書き終えたい」「あまり文章を膨らませるのは得意じゃない」という人には、やはり「中学校での思い出」をベースにするのがおすすめです。部活動、クラス行事、文化祭、体育祭、修学旅行など、いくつか具体的なエピソードを挙げるだけで文章は自然と広がります。
思い出を掘り起こすための行事・活動例
思い出を振り返る際は、以下のような行事や活動をキーワードにするとスムーズです。
- 運動イベント(運動会・体育祭、マラソン大会、球技大会など)
- 文化系イベント(文化祭・合唱コンクール・学習発表会など)
- 校外活動(修学旅行・遠足・社会科見学・ボランティア活動など)
- 日常的な活動(部活動・委員会・生徒会・ホームルーム行事など)
- 個人での挑戦(コンクール出場、自由研究、テスト勉強の苦労など)
「苦い経験」や「うまくいかなかった思い出」も、振り返りの視点としてはとても重要です。失敗から学んだ教訓や悔しかった気持ちが、文章に深みを与えてくれます。何事も成功だけが思い出ではありませんので、いろいろな角度から書いてみましょう。
卒業文集をサクッと書き上げるテンプレート
卒業文集をすばやく書き上げたい方は、以下のような基本構成を参考にしてみてください。中学校3年間で印象的だったエピソードを3つほど選び、それぞれのエピソードの内容と感想をセットで書くと、読みやすい文章になります。
【タイトル例】「中学3年間の思い出」 私にとっての中学校生活は、たくさんの出会いと経験にあふれていました。その中で特に印象に残ったのは、次の(1)つの思い出です。 (1)つ目は○○です。(具体的なエピソード、学んだこと、感じたことなどを詳しく) (2)つ目は○○です。(具体的なエピソード、学んだこと、感じたことなどを詳しく) (3)つ目は○○です。(具体的なエピソード、学んだこと、感じたことなどを詳しく) これらの思い出の全てが、私を大きく成長させてくれました。高校に進学してからも、この経験を糧に新しいことへ挑戦していきたいと思います。
このテンプレート通りに書くだけでも400~800字程度の文量が自然に出来上がります。自分の生活を3つのエピソードに区切ると、話がバラバラになりにくく、書きやすいのがポイントです。
卒業文集の書き出し例20選
冒頭の書き出し部分で「次に何を書こうか?」と迷いがちです。そんなときは、あらかじめ複数の書き出しパターンを用意しておくと便利です。ここでは20個の例を紹介します。
- 「私の中学校3年間の思い出は数え切れませんが、特に心に残っているのは〇〇です。」
- 「僕がこの3年間で一番頑張ったことは〇〇です。その理由は……。」
- 「私は将来、〇〇になりたいと思っています。」
- 「僕には将来の夢が2つあります。そのうちの1つは……。」
- 「高校に入学したらまずやってみたいことがあります。それは〇〇です。」
- 「中学生活を振り返ると、〇〇に挑戦した日々が思い出されます。」
- 「私が尊敬している人は〇〇です。3つの理由があります。」
- 「中学3年間で変わったことは数多くありますが、一番大きい変化は〇〇です。」
- 「この文章を読んでくれている友達へ。まず伝えたいのは『ありがとう』です。」
- 「もし中1の自分に今会えるなら、こう言いたいです。『〇〇』と。」
- 「私が3年間で一番心に残っている行事は〇〇です。」
- 「中学校での思い出を一言で表すなら、私は『〇〇』だと思います。」
- 「将来の夢といえば『〇〇』ですが、その背景にはある出来事がありました……。」
- 「僕が中学生活で挫折を味わったのは〇〇です。でも、そのおかげで……。」
- 「卒業を迎える今、感謝したい人がいます。それは〇〇です。」
- 「3年前は何もかもが不安だったけれど、今はこう思います……。」
- 「人生を変えた行事といえば、私にとっては〇〇でした。」
- 「中学校生活で大きく成長できた理由を考えてみると、やはり〇〇でした。」
- 「自分にとって、一番の宝物となったのはクラスの仲間です。」
- 「この3年間をあえて一言でまとめるなら、『〇〇』です。その心は……。」
うまく書き出せないときは、これらの例をヒントにしながら自分の言葉で言い回しを変えてみてください。途中で別の書き出しに切り替えるのも有効です。
卒業文集の文字数はどれくらい?
卒業文集に使える紙面は学校によって異なりますが、一般的には400字詰め原稿用紙で1~4枚分(およそ300~1600字)くらいが目安です。クラス全員や学年全員の文章をまとめるとなると、あまり長い文章は掲載しにくい場合があります。指示が特にない場合は、読みやすい長さを意識しながらも、しっかりと自分の気持ちを表現できる分量で書いてみましょう。
卒業文集の例文8選
ここからは具体的な例文を8つ紹介します。どんなふうに文章を構成すればいいのか、文量や書き出しのヒントとして活用してください。自分の体験や感想を差し替えるだけでも、オリジナル性の高い文章が完成します。
例文1:「中学の思い出」
私にとっての中学3年間は、多くの感動や学びが詰まった時間でした。その中でも特に印象に残っているのは、(1)体育祭で団長を務めたこと、(2)美化委員として活動したこと、そして(3)鹿児島への修学旅行です。 1つ目の体育祭では団長として全員をまとめるのに必死でしたが、声を張り上げながら仲間と一丸となって優勝を目指したことは一生の思い出です。 2つ目の美化委員の仕事は、地味ながらもやりがいがありました。花を植えたりゴミ拾いをすることで、「自分たちの手で学校をきれいに保つ」という責任感が芽生えたと思います。 3つ目の修学旅行では、特攻平和会館で戦争の悲惨さを学びました。家族や友達の大切さ、日常の平和がどれほどありがたいかを痛感し、涙が止まりませんでした。 振り返ってみると、楽しかったことも辛かったことも、すべてが私を成長させてくれた大切な体験です。高校でも新しい出会いやチャレンジが待っていると思うと、ワクワクが止まりません。
例文2:「将来の夢」
私が将来なりたいのは、看護師です。きっかけは、おばあちゃんの入院でした。 中学3年の春に癌で入院したおばあちゃんを見舞ううちに、看護師さんの優しさや丁寧なケアに心を打たれました。体だけでなく心のケアも同時に行う姿を見て、「こんなふうに誰かを支えられる仕事がしたい」と強く思ったのです。 それまでの私は、将来の進路をはっきり定められずに迷っていました。しかし今は、「看護師になる」という目標を胸に、高校でも勉強を頑張ろうと決めました。いつか、大切な人を笑顔にできる看護師になりたいです。
例文3:「尊敬する人」
僕が尊敬する人物は、野口英世です。幼い頃に大きな火傷を負い、不自由な手のまま医学の道を極めたその努力がすごいからです。 明治時代という厳しい時代背景の中でハンディキャップを抱えながら、決して諦めることなく研究を続けた精神力には頭が下がります。「努力だ、勉強だ。それが天才だ」という彼の言葉を知り、自分はどれほど頑張ってきただろうかと反省しました。 今の自分には、まだまだ足りないものが多いと思います。高校生活では野口英世の生き方を手本に、努力の天才になれるよう挑戦を続けたいです。
例文4:「感謝の気持ち」
3年間を振り返ると、私を支えてくれた人たちへの感謝がたくさん浮かんできます。 まず両親です。毎日の弁当作りや勉強の応援、部活動のサポートなど、どんなときも味方でいてくれました。思春期特有のわがままに付き合ってくれたことに感謝しています。 次に1年生のときの担任、山田先生。内気だった私に、みんなの前で堂々と意見を言う楽しさを教えてくださいました。勇気を出して学級委員に立候補できたのは、先生のおかげです。 そして一緒に過ごしてきたクラスメイトたち。時にはぶつかることもありましたが、その分お互いを理解し合えました。大切な思い出のほとんどが、友達との時間です。 今後も感謝の気持ちを忘れずに、高校生活でもたくさんの人に支えられながら成長していきたいです。
例文5:「成長したこと」
入学したばかりの頃、私は自分に自信がなくて、クラスで発言するのさえ緊張していました。それが3年経った今、学級委員や部活動のキャプテンを経験し、ずいぶんと積極的になれたと感じています。 1年生の時、担任の佐々木先生に「失敗しても大丈夫」と言われ、自分で考えて行動する勇気をもらいました。合唱コンクールでパートリーダーを務めたり、体育祭の応援団に参加したりと、今思えば数々の場面で前向きに挑戦できたのはあの一言が大きかったです。 こうした経験を通じて、「やらないで後悔するより、やってみて失敗する方が学びが多い」ということを学びました。高校でも苦手意識に負けず、積極的にいろいろなことにチャレンジしたいと思います。
例文6:「友達との思い出」
私の中学生活を支えてくれたのは、何といっても友達です。特に親友の佐藤さん、田中さん、鈴木さんとは部活もクラスも一緒で、毎日一緒に笑っていた気がします。 体育祭のリレーでは、みんなで「絶対勝とう!」と放課後練習に励みました。本番で私がバトンを落としてしまったとき、「気にするな!」とすぐに声をかけてくれた仲間の優しさを今でも覚えています。 2年生の夏には、4人でサッカー部の合宿に参加しました。夜の肝試しでは全員で大騒ぎし、先輩に怒られてしまったのも今ではいい思い出です。3年生になって受験勉強が始まっても、週末は図書館で勉強会を開き、お互いを励まし合いました。 高校では別々の進路になりますが、彼らとならこれからも繋がっていけると信じています。本当にかけがえのない仲間です。
例文7:「挫折と克服」
中学2年の時、部活動の大会で惨敗を喫したことが私の大きな転機でした。それまではどこか「なんとかなる」と甘く考えていたのですが、実際の試合結果はとても悔しいものでした。 そこから朝練を増やし、休日も自主練習を続けるようになりました。顧問の高橋先生も熱心に指導してくださり、少しずつ自分の弱点がクリアになっていったのです。 そして3年生の最後の大会では念願の入賞を果たしました。結果がすべてではないですが、努力が報われる喜びを初めて実感できた瞬間でした。 この挫折と克服の経験を糧に、これからも挑戦することを怖がらずに前へ進んでいきたいと思います。
例文8:「高校生活への抱負」
4月からは高校生。制服も校舎もクラスメイトも一新されるので、不安と期待が入り混じった気持ちです。 高校生活では、特に(1)英語力の向上、(2)ボランティア活動への参加、(3)自分の意見を堂々と発信することの3つにチャレンジしたいと思っています。中学時代に苦手だった英語を克服するために英検に挑戦したいし、地域社会への貢献にも興味が湧いてきました。 何よりも「やりたい」と思ったことには積極的に手を挙げてみる。これを自分のモットーにして、3年後に「高校生活を思いきり楽しんだ」と胸を張れるように頑張ります。
卒業文集をうまく書くための5つのコツ
最後に、卒業文集の文章を書くうえで意識しておきたいポイントを5つお伝えします。これらを押さえるだけで、読んでもらいやすい文章に仕上げられます。
素直な気持ちを表現する
難しい言葉や綺麗なフレーズにこだわりすぎず、自分らしい言葉で感情を伝えることが大切です。
具体的なエピソードを盛り込む
「中学3年間は楽しかった」だけで終わらず、具体的にどんな出来事があったのかを書くだけで読み手への説得力が増します。
感謝の気持ちを大切に
両親や先生、友人など、支えてくれた人への気持ちはしっかり文章にしましょう。読む人の心にも響きやすいポイントです。
将来の目標や高校生活への意気込みを添える
卒業後の希望や目標をまとめると、文章が明るい未来へとつながっていき、良い締めくくりになります。
推敲(すいこう)の時間を必ず作る
一度書いた文章を客観的に読み直すことで、不要な表現を削ったり、より良い言い回しに変えたりできます。時間をおいて見直すのがコツです。
「テーマが決まらない!」ときの対処法
どうしてもテーマが決まらない場合は、まずは「3年間で楽しかったこと・嬉しかったこと・悔しかったこと・感動したこと」を紙に箇条書きしてみましょう。その中でも特に印象が強いものをピックアップして、少しだけ詳しく書き進めてみると、自然と文章が組み立てやすくなります。もし複数の候補があるなら、書いていて一番ワクワクするものを選ぶとスムーズです。
まとめ
卒業文集は、中学校生活での思い出や学び、感謝、そして未来への決意を言葉にする絶好の機会です。日常の中ではなかなか意識しにくい「自分の考えや成長」を振り返ることができるので、卒業後に読み返してみると当時の思いが鮮明に蘇ってきます。
書き方に迷ったら、本記事で紹介したテーマ12選やテンプレート、例文、書き出し例を参考に、まずは手を動かしてみてください。失敗や挫折も含めたリアルな経験や感情を描写すると、より読み手の心に残る文章になります。忙しい時期かもしれませんが、「大切な中学生活を振り返る最後のチャンス」だと思ってじっくり向き合ってみてくださいね。
高校進学後はさらに多くの出会いや経験が待っています。中学で学んだことを生かしながら、新しい環境でも大いに活躍していく皆さんを応援しています。素敵な卒業文集が完成することを願っています!
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