「数学の成績を上げたいけど、どの問題集を選べばいいかわからない…」 「本屋に行っても問題集が多すぎて、自分に合う一冊が見つからない」 「とりあえず人気の問題集を買ってみたけど、難しすぎて結局手つかずになっている」
あなたも今、こんな悩みを抱えていませんか?
数学の学習において、自分に合った問題集を選ぶことは、羅針盤を持って航海に出るようなものです。適切な一冊は、あなたの学習を正しい方向へ導き、着実に力を伸ばすための強力なパートナーとなります。
この記事では、数ある問題集の中から、今のあなたのレベルと目的に本当に合った一冊を見つけるための「失敗しない選び方」を3つのステップで具体的に解説します。
さらに、選んだ問題集の効果を最大限に引き出すための、具体的な学習の進め方までご紹介します。
もう問題集選びで遠回りするのはやめにしましょう。この記事を読んで、あなたの数学学習の確かな一歩を踏み出してください。
そもそも、なぜ数学が苦手だと感じるのか?
具体的な問題集選びに入る前に、少しだけ立ち止まって考えてみましょう。あなたが「数学は苦手だ」と感じるのは、なぜでしょうか。
- 計算のスピードや正確さに自信がない
- 公式は覚えたつもりでも、いざとなると使えない
- 言葉の長い文章問題になると、何をすべきかわからなくなる
- そもそも解説を読んでも、その意味が理解できない
多くの人が、これらのいずれか、あるいは複数に当てはまるのではないでしょうか。大切なのは、苦手だと感じる原因のほとんどは、適切な学習法と、自分に合ったレベルの問題演習を繰り返すことで克服できるということです。
いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、まずは自分の「つまずきの石」となっている部分を解消してくれる問題集を見つけることが、苦手克服への一番の近道です。
失敗しない!自分に合った数学問題集の選び方【3つのステップ】
数多くの問題集の中から「これだ!」と思える一冊に出会うために、以下の3つのステップで考えてみましょう。
ステップ1:自分の「現在地」を正確に知る
まずは、今の自分の学力を客観的に把握することが最も重要です。
- 教科書の例題や章末問題は、自力で解けますか?
- 学校の授業には、なんとかついていけていますか?
- 前回の定期テストの点数は、平均点と比べてどうでしたか?
もし、教科書の例題レベルでつまずくのであれば、まずはそこを固めるのが最優先です。背伸びして難しい問題集に手を出すと、解説を理解するだけで精一杯になり、かえって非効率になってしまいます。
ステップ2:学習の「目的」を明確にする
次に、「何のために数学を勉強するのか」という目的をはっきりさせましょう。目的によって、選ぶべき問題集のタイプは大きく変わってきます。
- A:学校の授業の補習・苦手克服
- B:定期テストでの点数アップ
- C:高校・大学受験の基礎固め
- D:応用力をつけ、難関校を目指す
例えば、Aが目的なら、講義形式でわかりやすく解説してくれる参考書に近い問題集が適しています。Bが目的なら、教科書レベルの問題を網羅した、反復練習しやすいドリルが効果的でしょう。
ステップ3:解説の「詳しさ・分かりやすさ」で選ぶ
問題集は、先生のいない場所で一人で学習を進めるためのツールです。だからこそ、解答・解説が自分にとって分かりやすいかどうかが生命線となります。
書店で実際に手に取り、間違えそうな問題の解説を読んでみてください。
- 答えだけでなく、丁寧な途中式や考え方が載っているか?
- なぜその公式を使うのか、といった根本的な説明があるか?
- 図やグラフが多く使われていて、直感的に理解しやすいか?
解説を読んで「なるほど!」と納得できるものを選びましょう。
【レベル・目的別】おすすめ数学問題集・ドリル
ここでは、上記の3つのステップを踏まえ、多くの学生に長年支持されている定番の問題集をレベル・目的別に分けてご紹介します。
1. 基礎固め・苦手克服から始めたい人向け
教科書の内容もおぼつかない、どこから手をつけていいかわからない、という人におすすめです。まずは「わかる!」という体験を積み重ねることが大切です。
『やさしい高校数学』シリーズ(Gakken)
- 対象レベル: 高校数学の入門
- この問題集が合う人:
- 数学に強い苦手意識がある人
- 学校の授業についていけないと感じている人
- 特徴:
- キャラクターの会話形式で進む、講義形式の参考書。非常に丁寧で親しみやすい語り口が特徴です。
- 各単元の導入から丁寧に解説されており、なぜそうなるのかを理解することに主眼が置かれています。
- 効果的な使い方:
- まずは読み物として通読し、各単元の全体像を掴みます。付属の例題を、解説を見ながらで良いので、自分の手で解いてみましょう。
『ドラゴン桜式 数学力ドリル』シリーズ(講談社)
- 対象レベル: 中学〜高校基礎
- この問題集が合う人:
- 計算力など、基礎の基礎から徹底的に復習したい人
- 短時間で集中して反復練習をしたい人
- 特徴:
- 計算や基本的な公式の確認など、数学の土台となる部分に特化したドリル形式の問題集。
- スモールステップで進むため、達成感を得やすく、学習習慣をつけるきっかけになります。
- 効果的な使い方:
- 毎日10分など時間を決めて取り組みます。タイムを計り、スピードと正確性を意識するとより効果的です。
2. 標準レベル・定期テスト対策をしたい人向け
教科書レベルは理解できるけれど、テストで安定して高得点を取るためには演習量を増やしたい、という人におすすめです。
『チャート式』シリーズ(数研出版)
- 対象レベル: 教科書傍用〜入試標準
- この問題集が合う人:
- 学校の授業と並行して、網羅的に学習を進めたい人
- 定期テスト対策から大学入試の基礎固めまで、一冊で対応したい人
- 特徴:
- 多くの高校で採用されている、網羅型参考書の代名詞的存在。例題、演習問題と段階的にレベルアップできます。
- レベルに応じて色分け(白→黄→青→赤)されており、自分の目的に合わせて選べます。まずは黄チャートまたは青チャートが標準的な選択肢となります。
- 効果的な使い方:
- 学校の授業で習った範囲の例題をその日のうちに解きます。まずは例題を完璧にすることを目標にしましょう。
『サクシード』『4STEP』などの教科書傍用問題集
- 対象レベル: 教科書傍用
- この問題集が合う人:
- 学校で配布されている問題集を徹底的に活用したい人
- 特徴:
- 教科書の内容に完全に準拠しており、授業の進度に合わせて使いやすいのが最大の特徴です。
- 問題量が豊富で、定期テストでは類似問題が多く出題される傾向にあります。
- 効果的な使い方:
- これらの問題集は解説がシンプルな場合が多いため、学校の先生に質問できる環境で使うのが最も効果的です。授業で習った問題を、最低3周は繰り返して解き、解法を体に覚え込ませましょう。
3. 応用・発展レベル・難関大学を目指す人向け
教科書の範囲は完全にマスターし、さらに応用力や思考力を高めていきたい人におすすめです。
『Focus Gold』シリーズ(啓林館)
- 対象レベル: 入試標準〜応用
- この問題集が合う人:
- 青チャートレベルを終え、さらに発展的な問題に挑戦したい人
- 難関大学の入試を見据えている人
- 特徴:
- 網羅性に加え、思考力を問う応用問題や、コラムなどの発展的な内容が充実しています。
- 解説が非常に詳細で、一つの問題に対して多角的なアプローチが示されていることもあります。
- 効果的な使い方:
- まずは章末のまとめの問題や「Step Up」問題に挑戦し、自分の実力を試します。解けなかった問題は、解説をじっくり読み込み、解法のプロセスを完全に理解することを目指しましょう。
問題集の効果を120%引き出す!数学の勉強法
自分に合った一冊を見つけたら、いよいよ実践です。しかし、ただやみくもに解くだけでは効果は半減してしまいます。以下の3つのポイントを意識して、学習効果を最大化しましょう。
1. 「1冊を完璧に」を徹底する
あれもこれもと手を出すのは禁物です。浮気せず、選んだ1冊の問題を、どのページから出されても即座に解法が思い浮かぶレベルになるまで、何度も繰り返し解きましょう。1冊を完璧に仕上げることで、そのレベルの知識は完全に定着し、大きな自信につながります。
2. 「間違いノート」を作成する
間違えた問題は、あなたの弱点を教えてくれる最高の教材です。ノートを一冊用意し、以下のように記録しましょう。
- 問題をコピーしてノートに貼る(または書き写す)
- 正しい解答・解説を書き込む
- (ここが最重要!)なぜ間違えたのかを自分の言葉で書く
- 例:「計算ミス」「公式をど忘れした」「問題の意味を取り違えた」など
原因を言語化することで、次に同じミスを防ぐ意識が格段に高まります。
3. 最低でも「3周」は繰り返す
記憶を定着させ、解法を体に染み込ませるには反復が不可欠です。
- 1周目: まずは全体を解いてみる。できなくても気にせず、わからなかった問題、間違えた問題に印(×など)をつける。
- 2周目: 印のついた問題だけを解き直す。まだ解けなかった問題には、別の印(△など)をつける。
- 3周目: △の印がついた問題だけを再度解く。
こうすることで、効率的に自分の苦手分野だけを潰していくことができます。
まとめ
この記事では、あなたに合った数学問題集の選び方から、その効果を最大化する勉強法までを解説しました。
- 数学が苦手な原因は、自分に合わない学習法にあることが多い
- 問題集選びは「現在地」「目的」「解説の詳しさ」の3ステップで考える
- レベルや目的に応じて、定番とされる問題集から選ぶのが失敗しないコツ
- 「1冊を完璧に」「間違いノート」「3周ルール」で学習効果を最大化する
最適な一冊を見つけることは、ゴールではなくスタートです。しかし、それは間違いなくあなたの数学学習を加速させる、最も重要なスタートとなるでしょう。
まずは「ステップ1:自分の現在地を知る」ことから始めてみてください。あなたの数学の成績が、ここから大きく飛躍することを心から応援しています。
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