「マインドコントロール」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、他人の考えや感情を意図的に操作し、洗脳するための心理技法です。
多くの人は「マインドコントロール」や「洗脳」という言葉から、カルト宗教や犯罪を連想するでしょうが、実は日常生活の中でも一般的に行われている行為です。
人間の脳は成長の過程で外部からの情報によって形成され、それに基づいて個々の価値観が作られます。
つまり、私たちが個性と信じているものも、実際には外部からのマインドコントロールによって形成されたものなのです。
したがって、どのように人間が洗脳やマインドコントロールを受けるかを理解すれば、その解き方も見えてきます。
この記事を最後まで読むことで、世間で横行している洗脳詐欺などの被害を避けることができるかもしれません。
それでは、マインドコントロールと洗脳の方法と解き方について詳しく説明します。
マインドコントロール・洗脳の方法
「マインドコントロール」や「洗脳」という言葉は、メディアでセンセーショナルに取り上げられることが多いです。
心理操作を使った事件が起こると必ず出てきますね。
しかし、元々この言葉はネガティブな意味を持つものではなく、心理学に基づいた心理操作を指します。
ですから、正しく理解し、偏見を持たずに冷静な判断をしてほしいと思います。
ここでは、特に興味があると思われるマインドコントロールと洗脳の方法について紹介します。
心理学に基づいたマインドコントロール・洗脳には、大きく分けて次の2つのタイプがあります。
- 自己否定・環境否定型
- 肯定型
自己否定・環境否定型
このタイプは、個人の生活や仕事、価値観などを一度徹底的に破壊し、自我が崩壊した後にできた心の隙間に新たな思考や価値観を植え付ける方法です。
自我が崩壊するようなショックを受けると、どんな人でも頭が混乱し、自分の価値観に自信を失います。
その隙間に新たな価値観を植え付けることで、それを自然と自分のものとして受け入れてしまいます。
自己否定や環境否定を伴う「否定型」の洗脳方法には、次のような具体例があります。
密室に閉じ込めて情報を遮断する
この手法は、環境否定と自己否定の両方を組み合わせた洗脳方法です。
「密室に閉じ込める」と聞くと犯罪的に感じるかもしれませんが、悪質な営業や勧誘でよく使われます。
外部の情報が遮断された密室に閉じ込めることで、洗脳者に有利な「一方的な情報」のみを提供します。
この一方的な情報とは、洗脳者に都合の良い、「洗脳者が正しく、対象者が間違っている」と思わせるような情報です。
密室でこの情報を繰り返し与えることで、対象者は次第に「自分が間違っているのでは?」と不安になります。
そして思考が揺らぎ、洗脳者に従った際にだけ褒められることで、自己承認欲求が満たされ、洗脳者の思惑通りに操られてしまうのです。
多くの選択肢を与えて「同じ結論に誘導」する
この洗脳方法は、対象者に「自分の意思で選択した」と思わせつつ、誘導尋問を通じて洗脳者の望む結論に導くものです。
例えば、あなたがランチに安いファーストフードを選びたいと思っている場合、一緒にランチをする相手に「今日のランチはファーストフードでいい?」と聞くと断られる可能性があります。
そこで、選択肢を与えて「今日のランチ、回転寿司とハンバーガーとドーナツだったらどれがいい?」と聞くと、相手は自分で選んだと思います。
実際には、あなたの望む「ファーストフード」の枠内で選んでいるだけなのにです。
これは非常に簡単なマインドコントロールですが、悪徳商法などの勧誘でよく使われています。
この方法を知ることで、同様の状況に遭遇したときに、自分が洗脳されようとしていることに気づけるでしょう。
短いフレーズの情報を繰り返し刷り込み洗脳する
この洗脳方法は、「サブリミナル効果」を利用した手法です。
断片的で簡潔なフレーズを繰り返し発信することで、相手にそのフレーズの印象を刷り込み、他のことを考えさせない心理操作法です。
政府やマスコミが大衆を誘導する際によく使う手法で、日常的に様々な場面で活用されています。
人間の脳は「考えることが面倒くさい」と感じるため、わかりやすい短いフレーズを繰り返し聞かされると、それを受け入れてしまう習性があります。
性格的に周囲に流されやすい人は、この洗脳方法に簡単に引っかかりやすいのです。
集団行動で個人の意思を薄める
集団行動を通じて個人の意思を薄める洗脳方法もあります。
例えば、セミナーや合宿などで集団生活を送らせることで、個々の判断力を鈍らせ、集団の意見に従いやすくさせるのです。
このような環境では、他人と同じ意見や行動を取ることが「正しい」と感じるため、自分の考えや価値観を簡単に変えさせられる危険性があります。
集団の中で孤立することを恐れ、周りに流されやすくなるからです。
反復学習で新しい価値観を刷り込む
反復学習も効果的な洗脳方法の一つです。
これは、同じ情報を何度も繰り返し提供することで、対象者の記憶に強く刷り込み、新しい価値観や思考パターンを形成する方法です。
教育やトレーニングの場面でよく見られる手法ですが、洗脳者はこれを悪用して、対象者に自分の都合の良い情報を繰り返し教え込むことがあります。
結果として、対象者はそれが自分の意見や考えだと錯覚し、洗脳者の思惑通りに行動するようになるのです。
肯定(なぐさめ)型のマインドコントロール
否定型とは逆の手法で、相手をマインドコントロールするのが「肯定型」です。
否定型は相手の意思や価値観を徹底的に否定して崩壊させますが、肯定型はその反対で、相手に共感し、励ますことでコントロールします。
「わかるよ」「つらかったね」「ここに居場所があるよ」といった共感の言葉を使い、相手の意思を操ります。
この手法は、社会正義や平和を訴える団体などでよく使われます。
具体的な方法は以下の通りです。
「極限の恐怖」と「解放」を交互に与える
この洗脳方法は、肯定型と否定型を交互に用いるもので、「密室を使った方法」の発展型です。
まず、暴力や暴言で極限の恐怖を与え、支配関係を築きます。
人間は、自分よりも「上位」と認識した相手に従う習性があります。
相手が心身ともに弱ったところで、一転して安心感を与えます。
人間は本能的に安全を求めるため、その安心感を一時的に与えることで、洗脳者に従うことが正しいと学習させます。
これはいわゆる「アメとムチ」の手法であり、「吊り橋効果」としても知られています。
吊り橋効果は、恐怖体験を共有した後で優しくされると恋愛感情が芽生えるという心理効果です。
この効果も洗脳方法の一種といえます。
占い師のように振る舞う
この方法は、肯定型と否定型の中間の手法です。
占い師のように、「あなたは穏やかな性格だけど、特定のことになるととても怒ってしまうところがありますね?」などと、誰にでも当てはまることを言います。
相手は「当たっている!」と感じ、その人が自分を理解していると思い込みます。
そう思わせることで、相手はその人の言うことに従うようになります。
世間を騒がせる宗教絡みのトラブルは、このような洗脳方法が使われることが多いのです。
自己否定感を埋めてあげる
洗脳には「恐怖」や「批判」を与える手法がよく使われます。
なぜなら、自己否定している時が最もマインドコントロールにかかりやすいからです。
そのため、自己否定感が強い性格の人は洗脳されやすい傾向にあります。
こうした自己否定感を埋めてあげることで、相手を自分の思い通りに洗脳することができます。
自己否定感が強い人は「権威的な情報」を信じやすく、自分に自信がないため、常に居心地の良い場所を求めています。
自己啓発セミナーやネットワークビジネスは、そうした人々が自己否定感を癒すためのポジティブな情報を提供し、洗脳に繋がる環境を整えています。
参加者の自己否定感を埋めることで、その場に依存するようになり、その場所で聞いた情報を全て信じるようになってしまいます。
マインドコントロール・洗脳の実例
マインドコントロールや洗脳は、自分でも気づかないうちに行われています。
私たちは日常生活の中でどのようにマインドコントロールされているのでしょうか?
以下に、生活の中での洗脳の実例を紹介します。
日常の中にある洗脳
日常生活の中で何気なく目にするものや行われる行動にも、洗脳やマインドコントロール的な要素が含まれています。
「サブリミナル効果」を利用した洗脳は、テレビや映画館でのCMにも取り入れられています。
家族間でも、知らず知らずのうちに洗脳が行われていることがあります。
例えば、母親が子供に対して、「○○ちゃんはすごいよね! あなたも見習いなさい」や「あなたも身なりには気を遣うようにしなさい」と繰り返し言う場合を考えてみましょう。
ポジティブで自己肯定感が高い子供であれば、こうした言葉に影響されることはありません。
しかし、自己否定感が強い子供であれば、このような言葉が刷り込まれ、「私はこのままではダメだ! もっと頑張らなくては!」と、自分の意思に関係なく刷り込まれた言葉通りに行動してしまうようになります。
これは軽い洗脳状態であり、母親も無意識のうちに子供を自分の思い通りにしようとしている状態です。
洗脳者にそのつもりはなくても、知らず知らずのうちに相手を洗脳してしまうことがあるのです。
職場の中にある洗脳
職場でも無意識のうちに洗脳が行われています。
職場では、「上司」と「部下」という上下関係が最初から存在します。
人は本能的に、立場や力が「上」の人間に従う傾向があるため、気が弱かったり、自信がない人は簡単に洗脳されてしまいます。
例えば、日常的に部下を厳しく叱責する上司がいる場合、その部下は自己否定感が強くなり、不安定な精神状態になります。
その後、タイミングを見計らって上司が部下を褒めると、叱責によって自信を失い心に隙間ができた部下には、その褒め言葉が深く響きます。
こうなると、上司は部下を洗脳したも同然で、部下はどれだけ怒られても、その上司の言いなりになってしまいます。
恋愛の中での洗脳
恋愛においても、洗脳が行われることがよくあります。
自己否定感を埋める洗脳方法は恋愛関係でよく見られますが、「恐怖と安心を交互に与える方法」も多用されます。
典型的な例は、「DV(ドメスティックバイオレンス)の夫や彼氏から離れられない女性」です。
DVは、男性が暴力や暴言で女性を支配することから始まります。
繰り返される暴力や暴言により感情が麻痺した女性は、男性が見せる時折の優しさに安心感を覚えます。
こうなると、誤った価値観が植え付けられ、暴力に支配されながらも「優しくされる」ことで逃げられなくなります。
恋愛関係では、このような洗脳状態が起こりやすくなります。
ダブルバインドとは?
これまで紹介した洗脳方法よりもさらに恐ろしい手法があります。
それは「ダブルバインド」という心理操作テクニックです。
ダブルバインドは、心理的な二重の束縛や呪縛のことを指し、これを巧みに利用すると解けない洗脳状態を作り出すことができます。
難しい心理操作に思えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
ポイントは、一つ目の呪縛をかけた後で、二つ目の呪縛を本人が自らかける状況に追い込むことです。
例えば、あるセミナーに参加し、講師を信じたとします。
その講師が「今日は徹夜で頑張らないといけない。頑張ったら素晴らしいことが待っている!」と言ったとします。
その言葉を信じた人は、「徹夜=寝てはいけない」と従います。
さらに自分でも「徹夜で頑張らなくては」と考えます。
この場合、講師の言葉が一つ目の呪縛であり、その言葉を信じて自分自身で「徹夜で頑張る」と決意するのが二つ目の呪縛です。
ダブルバインドによる洗脳は、自分の意思でも呪縛がかかっているため、非常に解きにくいと言われています。
日常生活にも無意識のうちに入り込んでいる可能性があるため、注意が必要です。
マインドコントロール・洗脳の解き方
マインドコントロールや洗脳されてしまった人を解放するには、「自己否定感」をできるだけ解消し、「自己肯定感」を高めることが重要です。
また、マインドコントロールや洗脳の手法を見ると、「相手の視野を狭める」ことに焦点を当てています。
そのため、洗脳を解くためには「視野を広げること」が大きなポイントとなります。
自分を客観視する「肯定」と「否定」のイメージング
この方法は、洗脳者のメッセージと逆の内容を脳内でイメージするやり方です。
例えば、悪質な勧誘を受けた際に、相手が「これをやったら絶対に儲かるよ!」と繰り返す場合、あなたは頭の中で「これをやっても絶対に儲からないよ!」と唱え続けます。
この方法の目的は、「肯定」と「否定」を1セットの情報として自分に伝えることで、客観的かつ冷静な思考を促すことにあります。
「客観視」の考え方は、洗脳を解くために非常に重要です。
冷静に思考できるようになると、肯定と否定を俯瞰的に見られる「もうひとりの自分」の視点が得られます。
客観視ができると、狭まっていた視野が広がり、落ち着いた判断が可能になります。
洗脳されていても、このような思考が徐々に洗脳を解いていきます。
二元論で物事を判断するのを止める
二元論とは、「善悪で物事を考える」ことを指します。
洗脳は、ほとんどの場合「都合のいい善悪」の刷り込みを利用して行われます。
そのため、日常生活で「これは良い」「これは悪い」といった二元論的な考え方をする人は、洗脳されやすいと言われています。
二元論で生きる人は、自分が「悪」だと思った時に罪悪感を抱き、「自己否定感」を強くしてしまいます。
自己否定感が強くなると視野が狭まり、洗脳者の「善」が自分にとっても「善」だと思い込み、その人に従ってしまいます。
このようなパターンで洗脳されてしまう人は、二元論を手放し、「どっちでもよい」という思考の余白を作るようにしましょう。
そうすることで、洗脳を解くことが可能になります。
ゲシュタルト崩壊(ショック)を促す
「ゲシュタルト」とはドイツ語で「姿・形」を意味します。
ゲシュタルト崩壊とは、心理的なショック療法で、自分が信じているものの姿形が壊れ、その認識が分離される現象を指します。
例えば、マルチ商法で「お金儲け」と「地球環境保全」を結びつけて信じている人に対して、この認識を壊すショック療法を用いると、それぞれを別のものとして認識できるようになります。
結果として、洗脳が解けるのです。
日頃から自己確信が強く、「自分は騙されない」と思っている人ほど洗脳されやすい傾向にあり、こうした人にはこの方法が効果的です。
あらゆる人の話を聞く
視野を広げたり、自分の信じていることを崩すために、「あらゆる人の話を聞く」ことは有効です。
人の考え方は千差万別ですので、多くの人の話を聞くことで、多様な視点を得られます。
これにより、自分の信念に対してショックを与える機会が増え、洗脳を解くきっかけを掴めるでしょう。
しかし、洗脳された人は周囲の言葉に耳を貸さないことが多いです。
もし、身近にマインドコントロールや洗脳を受けている人がいるなら、ひとりで意見をしても問題がこじれる可能性があります。
そのため、自分だけで抱え込まず、家族や友人、インターネットの掲示板や相談所など、さまざまな人々の意見を取り入れてみましょう。
これにより、洗脳された人の視野を広げ、正しい判断を自らできるよう導くことができます。
マインドコントロール・洗脳の恐怖
マインドコントロールや洗脳によって、人間の心理効果を巧みに利用し、相手を操ることが可能です。
これにより、犯罪や詐欺に利用され、深い苦しみを味わう人が残念ながら存在します。
マインドコントロールと洗脳は微妙に意味が異なります。
「洗脳」は、監禁や暴力などの恐怖心を利用して相手の意思をコントロールするもので、その環境から解放されると比較的容易に解けることがあります。
一方、「マインドコントロール」は、恐怖心を煽らず、相手に気づかれないように心理操作を駆使して個人の意思を変えるものです。
いずれにせよ、どちらも人間の心理を巧みに利用して意思を操る恐ろしいものです。
マインドコントロールや洗脳には、どのような恐怖があるのでしょうか?
マインドコントロールや洗脳の恐怖
マインドコントロールや洗脳の恐怖を感じるのは、どのような時でしょうか?
これらの操作にかかってしまう方法や機会は、前述のようにさまざまです。
しかし、多くの人は「自分だけは洗脳されない」と思いがちです。
マインドコントロールにかからない人には、それなりの理由があります。それは、経験と知識です。
例えば、訪問販売で高額商品を勧められた際、その商品についての知識や訪問販売を断った経験があれば、「そんなものはいらない!」と断ることができます。
しかし、意思が弱かったり、その商品についての知識がない場合は危険です。
巧妙に心に入り込んで誘導尋問を受けると、気づかぬうちに高額商品を購入させられることがあります。
マインドコントロールの本当の恐怖は、経験や知識が乏しいのに「自分は洗脳されない」と油断している状態を作り出すことです。
マインドコントロールを避けるには、知識を持ち、洗脳に対抗することが必要です。
マインドコントロール・洗脳解除の難しさ
マインドコントロールや洗脳がさらに恐ろしいのは、一度洗脳されてしまうと、それを解除するのが難しい点です。
マインドコントロールが完了しているということは、根本的な価値観や意思が完全に入れ替えられている状態です。
つまり、普通の話し合いすら望めない状態です。
また、洗脳された人は、その状態に「安心感」を感じていることが多いため、その状態から解放されることに対して不安を覚えます。
マインドコントロールや洗脳された人を救おうと思っても、解除する側が相手の心理状態を把握し、さまざまな知識を持っていなければ解決できません。
そして何より、忍耐強く接する覚悟が必要です。
ディプログラミングは危険?
マインドコントロールや洗脳を解除する方法として、「ディプログラミング」という手法があります。
この手法は、カルト宗教の信者を一般社会に戻し、洗脳を解く際に使われていたもので、カルト宗教で行われたマインドコントロールと同じ手法を用います。
つまり、以前に「あの教祖を信じろ」と教え込まれたのと同じように、今度は「あの教祖は嘘を言っていた」と教え込む方法です。
しかし、この方法は現在では非常に危険とされています。
なぜなら、洗脳を解く過程で、どうしても洗脳された人の思考を「否定」する必要があるからです。
否定が強調されると、洗脳された本人が自分自身を否定するようになり、結果として抑うつ的になったり、洗脳を解こうとしている相手に敵意を抱くことがあります。
そのため、現在ではこの「ディプログラミング」という方法はほとんど行われていません。
「自己肯定感」や「安心感」を高めることが、自分自身を立て直すために重要だとわかります。
まとめ
今回の情報は、マインドコントロール・洗脳の方法とその解き方を知ることで、洗脳被害に遭うリスクを軽減することを目的としています。
したがって、これらの知識を誰かを洗脳するために使うのではなく、コミュニケーションを円滑に行うための知識として活用してください。
これで、あなたもマインドコントロールにかかるリスクを減らすことができます。
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