日本の食卓でよく見かける梅干しは、ご飯にのせたり、野菜と和えたり、ソースに使ったりとさまざまな用途があります。
また、甘い風味の干し梅やカリカリ梅のように、おやつとして楽しめるものもあります。
しかし、梅干しはその名の通り、ウメの実を塩漬けにし、天日干ししたもので、塩分を多く含んでいます。
若いうちはあまり気にしないかもしれませんが、塩分の過剰摂取は後々の健康に影響を及ぼすことがあります。
ここでは、梅干しの塩分濃度と塩分量について詳しく見ていきましょう。
梅干しの塩分濃度と塩分量
梅干しにはいくつかの種類があります。
- 調味梅干し(かつお味・はちみつ味など):塩分濃度が約10%で、1個あたりの塩分量は約1~2グラム。
- カリカリ梅:1袋(50グラム)で約3グラムの塩分。
- 白干梅:強い酸味が特徴で、塩分濃度が20%で4~5グラムの塩分。
- 薄塩・減塩梅干し:塩分濃度が約15%で、塩分は6%以下に抑えられています。
梅干しの塩分濃度の決まり方
梅干しの塩分濃度は、漬ける前の梅に対して使用する塩の量で決まります。
梅1kgに塩100gを使用すると10%の塩分濃度になります。
市販のしそやはちみつ漬けの梅干しは、5~10%の塩分濃度が多いです。
8%程度であれば控えめと言えます。
市販品は塩漬けではなく、白干し梅を水に漬けて塩分を減らし、味をつける調味漬けの方法で作られています。
そのため、塩分は少ないものの保存性が下がるので、開封後は冷蔵庫で保管する必要があります。
家庭で手作りする場合、5~10%の塩分濃度では傷みやすくカビが生えやすいため、15~20%程度の塩分濃度で漬けて保存性を高めています。
厚生労働省の推奨する1日当たりの塩分摂取量は、成人男性で8g未満、成人女性で7g未満です。
多めに見ても10g未満に抑えるのが良いでしょう。
市販の8%塩分の梅干しで一粒が17gの場合、可食部12gの食塩相当量は約1gです(製造方法やサイズにより異なる場合があります)。
この数値からすると、適量を守れば毎日食べても問題はなさそうです。
梅干しの塩分量を抑えるには、1日何個まで?
厚生労働省のガイドラインによると、成人が1日に摂取する塩分の目安は、男性で8グラム未満、女性で7グラム未満です。
日本人の食文化には、醤油や味噌など塩分の多い調味料が多く、漬物のような塩漬け食品も多いため、WHOが推奨する1日5グラムよりも多めに設定されています。
料理の塩分量を具体的に挙げると、ラーメンは6グラム、かつ丼は4グラム、肉じゃがは3グラム、玉子焼き(3切れ)は1グラム、みそ汁(1杯)は1グラムです。
例えば、男性が「ラーメン・かつ丼セット」をお昼に食べると、合計10グラムの塩分を摂取し、1日の目安を超えてしまいます。
このように数値で見ると、普段の食事に意外と多くの塩分が含まれていることが分かります。
日常的に塩分を多く摂っている場合は、梅干しは控えた方が良いでしょう。
日々の食事で減塩を心掛けるためには、梅干しは1~2個程度が適量です。
梅干しの塩分過多が健康に与える影響
のどの渇きと体のむくみ
体内の塩分濃度は約0.85%に保たれています。
ナトリウム(塩)とカリウムのバランスが取れている状態です。
通常、塩分は汗や尿として排出されますが、激しい運動や暑い時期には水分とともに塩分も必要とされます。
塩分を摂りすぎると、体はミネラルバランスを保とうと水を求め、のどが渇きます。
同時に「むくみ」が発生します。
特に女性は経験があるかもしれませんが、塩分過多により体が水をため込みやすくなります。
モデルが塩分摂取を控えるのはこのためです。
病気のリスク
水を飲むことで塩分濃度は下がりますが、血液量が増えて血圧が上がります。
これが高血圧の原因です。高血圧は動脈硬化を引き起こしやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
また、腎臓も高血圧や動脈硬化の影響を受けやすく、腎臓疾患のリスクが増加します。
塩分の摂りすぎは重大な病気に繋がるため、生活習慣病の一因となります。
食べる楽しみを損なわないためにも、毎日の食事で少しずつ注意を払うことが重要です。
梅干しの塩分濃度・塩分量を減らす方法
梅干しの塩抜き方法
市販の減塩梅干しを選ぶことも可能ですが、手作りの梅干しを楽しみたい方には、塩分を減らす方法として「塩抜き」をおすすめします。
昔ながらの白干し梅も、塩抜き後に調味加工されています。
家庭でも簡単に塩抜きができます。
薄めの塩水に梅干しを入れ、数時間ごとに水を替え、丸1日漬けておくと塩分が約半分に減少します。
40度程度のぬるま湯を使用すると、さらに早く塩が抜けます。
たくさんの梅干しを楽しみたい方は、ぜひ試してみてください。
塩気をだしに置き換える
青森県では、減塩の取り組みとして塩気をだしで代用する「だし活」が推奨されています。
青森県は塩分摂取量が多く、食塩消費量が全国1位です。
だしには旨味と香りが含まれており、少ない塩分でも美味しく感じることができます。
旨味は後味が長く、満足感が高いので、減塩効果が期待できます。
カリウムを摂取する
塩分(ナトリウム)を多く摂取した場合、それを中和するカリウムを摂ると良いでしょう。
カリウムは豆類や野菜、魚に豊富に含まれ、余分な塩分を体外に排出する効果があります。
塩分を摂りすぎた日は、これらの食材を積極的に取り入れてみてください。
梅干しの塩分濃度を減らす塩抜きの方法
塩抜きが面倒だと思っている方もいるかもしれませんが、実はとても簡単です。ほとんど放置するだけなので、ぜひ試してみてください。
【材料】
- 白干し梅 500g
- 塩 5g
- 水 2L
- 大きめのボウルに梅干しと水を入れます。
- 塩を加え、お好みの塩分になるまで置いておきます。
- ザルにあげて数時間、水をよく切ります。
これだけです。
家にあるもので簡単にできるので、ぜひやってみてください。
塩抜きに塩を使う理由は、浸透圧によって塩分が抜けやすくなるためです。
目安としては12時間~24時間放置することで、塩分濃度を20%から約8%まで減らすことができます。
私自身は10%がちょうど良いので、12時間置いた後に水を替えてさらに12時間置いています。
水の温度や環境によって多少変わるので、調整してください。
短時間で塩抜きをしたい場合は、ぬるま湯を使ってください。
梅干しの塩抜きの際の注意点
自分好みの塩分濃度に調整できる塩抜きですが、いくつか注意点があります。
まず、白干し梅は高い塩分濃度で保存性を保っていますが、塩抜きをすると日持ちがしません。
低塩分の梅干しは1~2ヶ月で食べきれる量で行ってください。
塩抜き後は冷蔵庫で保管し、早めに食べましょう。
また、粒の大きさや形状によって塩分の抜け具合が異なるため、味見をしながら行うと良いです。
放置しすぎて薄味にならないように注意しましょう。
まとめ
- 梅干しの塩分量:甘口の梅干しで1~2グラム、酸味の強い白干梅で4~5グラム
- 1日の塩分摂取目安:男性が8グラム未満、女性が7グラム未満
- 健康リスクを考慮すると、梅干しは1日1~2個までが理想
- 塩分の過剰摂取は高血圧や動脈硬化などの病気を引き起こす
- 梅干しは家庭で塩抜きできる
- 塩気をだしに変えて美味しく減塩
- 塩分を摂りすぎたら、野菜や豆、魚を食べてバランスを取る
梅干しに限らず、どんな食べ物も食べ過ぎは禁物です。
適量を守って、美味しく健康的な食生活を楽しみましょう。
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