仕事や家庭での役割が多すぎて、気持ちの切り替えが難しく、「やらなければならないこと」に縛られていませんか?
また、「本当に大切なこと」の優先順位がつけられず、仕事を家庭に持ち帰ってしまい、家族との関係が悪化しているかもしれません。
このままでは、ストレスによって自分自身や大切なものを失うリスクがあります。
そんなあなたにおすすめするのが、マインドフルネスです。
マインドフルネスは、「過去」や「未来」ではなく、「今、ここ」に意識を向けることで、集中力とリラックスのバランスを取る方法です。
気持ちの切り替えや時間の使い方にも役立つとされています。
誰でも簡単に取り入れられるマインドフルネスについて、詳しくご説明します。
マインドフルネスの基本
「マインドフルネスとは一体何なのか?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
私もその一人でした。
日本では、オウム真理教の事件以降、瞑想に対する否定的な感情が強く、マインドフルネス=瞑想という誤解から避けられがちです。
しかし、マインドフルネスを理解することで、その認識が自分の思い込みに過ぎなかったことに気づくでしょう。
マインドフルネスは瞑想でもあり、瞑想ではない
マインドフルネスの語源は仏教の「サティ」で、日本語では「念」とも訳されることがあります。
他にも「気づき」「自覚」「集中」といった意味が含まれています。
「念」とは、「今」に心を集中させることを指します。
マインドフルネスは仏教から生まれた概念であるため、瞑想と関連していますが、それにとどまらず、心理療法の一つとしても深い意味を持つものです。
マインドフルネスが意味する2つの側面
マインドフルネスが難しく感じられる理由の一つは、マインドフルネスが「行為」と「精神状態」の2つの側面を持つためです。
マインドフルネス瞑想は行為そのものであり、瞑想を通じて得られる心の状態もマインドフルネスと呼ばれます。
今、あなたに必要なのは、実践を通じて得られるマインドフルネスの状態です。
マインドフルネスの本質
マインドフルネスが意味する精神的な状態について詳しく見ていきましょう。
以下で、その核心部分について説明します。
マインドフルネスとは「気づき」のこと
日常生活での心配や不安、やるべきことに心が囚われると、私たちの意識は過去や未来に向かいがちです。
その結果、「今、ここ」に存在する自分を見失ってしまいます。
マインドフルネスとは、意識的に「今、ここ」に心を集中させることで、自分自身のありのままの姿に「気づき」、その「気づき」を観察することを意味します。
これにより、過去や未来に囚われる感情から解放されることができます。
「今、ここ」に全力を注ぐこと
マインドフルネスでは、「今、ここ」の瞬間に全力を注ぐことが求められますが、その状態がどのようなものかを理解するのは難しいかもしれません。
そこで、マインドフルネスの実践が重要になります。
マインドフルネス瞑想では、呼吸に意識を集中させることで、「今、ここ」の一瞬に全力を注ぎます。
心に浮かぶ雑念はそのまま受け入れ、呼吸している自分や雑念が浮かんでくる自分を観察します。
この繰り返しを通じて、呼吸という行為と感情を結びつけずにいる状態を作り出すことができます。
マインドフルネスに至るための要素
「今、ここ」に意識を向けることがイメージしにくい方は、以下の点を考えると理解しやすくなります。
- 高いストレスや不安に直面する状況を思い描く
- そのストレスや不安を解決した自分を想像する
- 必要な行動(「今、ここ」に意識を向ける)に集中する
例えば、スポーツ選手が本番で力を発揮する状態をマインドフルネスとした場合、
- 「スタートが失敗したらどうしよう」と不安を感じる
- スタートダッシュがうまくいき、1位となって笑顔になる自分を想像する
- スタートのホイッスルにのみ集中する自分を思い描く
このような流れで考えると良いでしょう。
マインドフルネスは、感情や雑念から解放され、「今、自分がするべきこと」を明確にするための実践でもあります。
マインドフルネスの効果
「今、ここ」に意識を集中させるマインドフルネスが近年注目されている理由は、多くの研究成果や実績がその効果を証明しているからです。
以下では、マインドフルネスがもたらす具体的な効果について詳しく見ていきましょう。
マインドフルネスが脳に与える影響
マインドフルネスが広く受け入れられるようになった背景には、MRI(医療機器)による脳の機能と構造の変化が明らかになったことがあります。
研究によれば、マインドフルネスを実践することで、感情のコントロールに関与する脳の領域の密度が増加することが報告されています。
この変化により、マインドフルネスが学習や記憶、感情の調整、さらには共感能力の向上に寄与するとされ、その実践が広がっているのです。
ストレス軽減におけるマインドフルネスの役割
マインドフルネスは、ストレス管理の心理療法として知られる「マインドフルネスストレス低減法」にも利用されています。
この方法は、仕事や家庭でのストレス、不眠、慢性的な疲労に悩む人々に役立っています。
一般的には、8週間のプログラムが行われ、その効果が実証されています。
マインドフルネスが認知の歪みを改善
不安神経症やパニック障害に苦しむ人々にも、マインドフルネスは有効とされています。
これらの状態はしばしば不安や認知の歪みに起因しているため、「今、ここ」に集中するマインドフルネスが効果的だとされています。
うつ症状の改善に対するマインドフルネスの効果
マインドフルネスは、うつ症状の改善にも寄与するとされています。
そのため、うつ病の予防や治療の一環としてマインドフルネス認知療法を取り入れる施設が増加しています。
人間関係のストレス軽減
マインドフルネスは、心のトレーニングとしても知られています。
心を鍛えることで、他者の評価に対する不安から解放され、物事を明確にし、決断力を高めることができます。
企業におけるマインドフルネス導入の成功例
企業でのマインドフルネス導入の代表的な成功例として、Googleがあります。
チャディー・メン・タンが社内研修に取り入れ、社員のEQ(感情知能)を向上させ、人間関係の改善と創造力の促進に成功しました。
現在、日本の企業でもマインドフルネスの導入が進んでいます。
睡眠の質向上とダイエット効果
自宅でマインドフルネスを実践することで、睡眠の質が向上したとの報告があります。
また、ストレスによる過食や早食いが体重増加の原因となることがありますが、「食べる瞑想」を行うことで、食事をゆっくり味わいながら摂取することができ、ダイエット効果が認められた事例もあります。
マインドフルネスの実践方法
これまでにマインドフルネスの基本的な概念やその効果についてご紹介しましたが、実際にはどのようにマインドフルネスを実践すれば良いのでしょうか?
ここでは、実践に役立つ具体的な方法をご紹介します。
呼吸を活用したマインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、呼吸に意識を集中させる方法です。
ここでは、以前NHKで紹介された実践手法について説明します。
- まずは、背筋をまっすぐにし、肩の力を抜いてリラックスした状態で座ります。軽く目を閉じてください。
- 次に、呼吸をそのまま感じ取ります。呼吸の感覚に集中し、心に浮かぶ雑念や感情に引き込まれることなく、ただ呼吸に意識を向けます。
- 全身で呼吸を感じ、息が体内を流れる感覚に注意を払いましょう。
この方法を実践することで、心にポジティブな変化を感じることができるでしょう。
ヨガとマインドフルネスの融合
マインドフルネスとヨガは、共に仏教にルーツを持つため、非常に相性が良いとされています。
マインドフルネスの「今、ここ」に意識を向けるアプローチとヨガの実践は、自然に融合します。
例えば、東京マインドフルネス協会などでは、ヨガとマインドフルネスを組み合わせたプログラムを提供しています。
マインドフルな時間を増やすための3ステップ
仕事の効率向上やストレスの改善を目指すために、以下の3つのステップを試してみましょう。
- まずは、日々のストレスやリラックス度を書き出し、それぞれに点数を付けます。
- 次に、作成した表を客観的に見直し、ストレスの根本的な原因を特定します。
- 最後に、快適なリラックス状態を維持できるように調整を行います。
このプロセスによって、適度なストレスが集中力を高める場合と、過度なストレスが集中力を削ぐ場合を明確にし、マインドフルネスを取り入れることで気持ちを切り替え、時間を有効に活用することが可能になります。
日常生活にマインドフルネスを取り入れる方法
マインドフルネスは、特定の時間や場所に依存しない実践方法です。
以下の方法で、日常生活に簡単に取り入れることができます。
- 歩行瞑想として、歩く際に一歩一歩に意識を向ける。
- 電車の待ち時間や信号待ちの間に呼吸に意識を集中させる。
- 食事や掃除などの活動に意識を向ける。
マインドフルネスは呼吸だけでなく、日常のさまざまな五感に意識を向け、現在の瞬間に気づきを得ることを含みます。
マインドフルネスのリスクと注意すべきポイント
これまでにマインドフルネスの利点やその効果についてご説明しましたが、反対意見や懸念も存在します。
具体的には、以下のような報告があります。
- マインドフルネスが創造性を減少させた
- マインドフルネスによって不安やイライラが増した
- 期待していた心の変化や願望が実現しなかった
一部のケースでは、マインドフルネスの実践がパニック障害を引き起こす原因になったという報告もあります。
マインドフルネスは「今、ここ」に集中し、現在の瞬間を意識する手法ですが、これはリラックスした状態でありながらも意識は鮮明でなければなりません。
この状態は「作る」ものではなく、「自然に湧き上がる」ものです。
つまり、リラックスやより良い状態を目指して無理に思考や記憶、感情にとらわれると、逆にイライラや緊張が高まる可能性があります。
そのため、期待通りの結果が得られない場合もあります。
不安や感情に悩まされる場合は、一人で実践するのではなく、専門家の指導のもとで短時間から始める方が安全です。
短期間で効果を実感したい場合は、マインドフルネスの本質をしっかりと理解した上で実践することが重要です。
まとめ
いかがでしょうか?
過去や未来に心を奪われることなく、「今、ここ」に集中し、ありのままの自分を観察することで、「今」を大切にする感覚が高まります。
私自身もマインドフルネスを実践しており、その結果、気持ちの切り替えや優先順位の付け方が上手になり、時間をより有効に使えるようになりました。
呼吸を感じることは、現在の自分を実感することであり、自分の中の焦りやイライラを観察し、その本質を理解することで、本当に大切なものに囲まれた豊かな自分を目指しています。
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